2009.11.23[月] September issue

女王アナ・ウィンターが、VOGUE9月号を完成させるまでのドキュメンタリー。
これはどうしても見たかった。1800円でも良くて行ってしまった。
最高だね。やっぱりファッションは最高です。
あの意見のぶつかり合いがたまらないです。それぞれのクリエイションを譲らんとするところが。
だけどお互いを認め合って高め合おうとするアナとグレイス(クリエイティブ・ディレクター)が素敵。
グレイスが自分の好みについて語る言葉のひとつひとつがツボだった。「私はロマンティックな人間なの」とか。
まあでも、何よりも見れて良かったのはマリオ・テスティーノの最低ぶりでした。笑
「えーーーーーーーーーーーー」みたいな。「巨匠!!」みたいな。
巨匠も意外と人間だったんだな、と。
それはもちろんアナも一緒で、やっぱり私たちはひとつ媒体を通して見る対象は自分の中で理想的に作り上げてしまう傾向にあるから本質が見えなくなってしまうんだな、と思った。
成し遂げたこと・・・いわゆる功績や肩書きというものは凄いものだし、否定はしないけど、何を追随しているのかを見失ってしまって過去や企業のロボットになってしまった人には魅力を感じない。
アナが何よりも秀でているのはその決断力なのだろうと思った。
遊びとはいえ、ショートムービーを制作した時に、撮影と監督的な立場にいて、決断力というものが如何に大切で完成に影響するのかということを思い知ったので、彼女の潔さに憧れた。
アナは非情なパブリックイメージで認識されていることが多いが、私はとても優しい人だと感じる。
即断即決が出来るということは、時間も無駄にしないし、自信を持って作ったものにダメ出しをされることで、更にその上をゆくものが生まれる可能性もある。もちろん、VOGUEの世界の中ではアナの良い&悪いの範疇内での話になってしまうけれど。
それに、アナは傷つくことを恐れていない。彼女が見ているのは如何に美しいものを創造するかということだけであって、要は「こう言うことで、スタッフが私をこう思ったらどうしよう」みたいなものが無いのだろう。
私ははじめ「自分に自信があるから出来ることだよなあ」と思いながら見ていた。自分に自信の無い人間は、往々にして誰かの判断や意見を仰ぐ。自分に自信が無いから、決断が出来ない。それに、もし結果が不本意だったら、その誰かのせいにしていれば済むだろうから。
けれど、それこそ問題のマリオin表紙撮影ofシエナ・ミラーの、一連のシーンを見ていて思った。アナは自信があるからではなく、ビジョンが完璧に見えているから譲らないし即決断するのだと。
此処まで来ると「自分のビジョンに自信がある」という次元を超えた話だ。
自信があるからプロモーションするのではない。自信があるから意見を押し付けるのではない。自信があるから・・・・・ではなく、「それ以外ありえない」という「心の声」がするから、なのだ。
彼らの足元にも及ばないが、日常的にクリエイションの現場にいる者としては、その感覚がほんの少しわかる気がする。
自信なんて無いのだ。だからアナも娘に相談したりする。
なぜなら創造に答えなど無いからだ。全てが正解であり間違いでもある。この世に存在する全てのものがそれぞれの答えを持っているのだ。
そんな中、雑誌や媒体でひとつのガイドラインを作ってゆくという作業はどうしようもない低次元のレベルでは到底なし得ないことであるし、成し得てはいけないことであると思う。なぜならこの世界は完全なる自由世界であり、犯罪と言われることだって誰かがきめたガイドラインでしかなく、そこに敢えてラインを引いてゆくというのは人智を超えた部分の働きなのではないかと思うのだ。
結局わかったのは「どんな立場の人でもみんな普通の人間だ」ということだった。
違うことは「自分の心の声に従って生きているかどうか」ということだけだった。
ニュースも新聞も雑誌もグルも十字架も何も必要ない。その時自分に必要なものは心が教えてくれるのだから。自分に何が必要なのかは自分にしかわからない。
結局全てはエンターテイメントだ。どんな凄い事もその人が自分の信じるエンターテイメントを追求した結果だろう。
だからエンターテイメントは凄いのだ。
妙にインテリぶるよりもよっぽど美しい。
アナ万歳。
高校ぶりにVOGUE定期購読しようかしら。日本版だけど。
そう。超一流メゾンのクチュールのフロントロウでサングラスかけっぱでも、アナは万歳なのだ。「てかそれじゃ色とかディティール見えなくない?」とかそんな次元じゃないのだ。きっと心の目が全ての色を見ているのだろう。そう思いたい。マリオもきっとその心の声でコロッセオシーンを削り、「写真のストックなんてもう無いよ」って言ったに違いない。そう信じたい。
そうじゃないなら人としてどうかと・・・・That's all.



